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京都・嵐山の隠れ寺[鹿王院]を御朱印男子が巡る|バレーボール選手髙橋塁さん【後編】

京都・嵐山の隠れ寺[鹿王院]を御朱印男子が巡る|バレーボール選手髙橋塁さん【後編】

江戸時代中期の1763年に作庭されたと伝わる、嵐山を借景とした平庭式枯山水苔庭の本庭を見ながらひとやすみ。季節の移ろい、自然と共存するお庭が「自分にとって本当に必要なものは何か」を問いかけてくるよう。

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仏牙舎利を祀る舎利殿で、そっと手を合わせる髙橋塁さん

塁さんにとって京都のお寺は、所属チームの役割を真っ当しようと奮闘する自分をリリースできる場所。お寺での時間は、プレイヤーである前にひとりの人間に立ちもどる時間でもあった。


【前編はこちら】
髙橋塁さんが地元・嵐山の鹿王院を訪ね、幼少期の思い出や御朱印集めについて語る
“動”の日々を過ごすための“静“の休日

試合の流れを変える、巧みなサーブが持ち味の塁さん。普段は常にバレーボール選手として“動”の日常を送っているからこそ、 “静“の時間も彼にとって必要なもの。バーベキューをしたり、お寺を巡ったりして心身を整えているそう。

「2024年はイタリアから帰ってきた藍が同じチームに入り、大同生命SVリーグ制覇という兄弟の目標を達成できました。秋から始まる来シーズンも気合いを入れ、2連覇を狙っていきます」

バレーボールの環境も、人生の環境も、ここ数年で流れがすごく変化してきている髙橋兄弟。どんな時も自分を見失うことなく、初めてのシチュエーションにもひるむことなく対応することが求められる。

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仏牙舎利を納めた厨子のまわりに立つ四天王像。鬼を踏みしめ、方角を護る姿に祈りの力が宿る
次世代にバレーの魅力を伝える役目も

いつもはコート内でチームメイトや「はしごだか」を歓喜させる塁さんだが、リーグ開幕までのオフシーズンの活動は幅広い。小学校や中学校で、子どもたちにバレーボールの魅力を伝えることもライフワークになりつつある。

「バレーボールが好き、京都が好きという気持ちを活かして、自分たちが京都のためにできること、次世代に残していけることを模索しています」

実は彼がバレーボールを始めたきっかけも、女子バレーの栗原恵選手だったというのはバレーボール界では有名な話。

「テレビでプレーを見て感動して。憧れの栗原さんにお会いできた時『今度は塁くん、藍くんの番だよ』と言葉をいただいたんです。今日の午後も小学校に伺うんですけど、自分のことやバレーの魅力を話して、小学生たちが刺激を受けて、興味を持ってくれたら本当に嬉しいです」

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塁さんの視線の先に広がる鹿王院庭園。300年の歳月を経たモッコクの木がただそこに在り続けている
応援してくれるファンとの今を楽しみたい

コートの中とはひと味違う、ほんわかムードで場を和ませる塁さんが、大切にしている言葉は「生きてるだけで丸儲け」だという。その心は?

「アーティストの優里さんの歌が好きで、『ビリミリオン』という曲に『生きてるだけで丸儲け』という歌詞があるんです。ケガでプレーできなかった時期があったからこそ、健康で自分のやりたいことができている今に心から感謝しています」

今を楽しみ、今の自分のベストを尽くす。ルーティンを持たないというのも塁さんらしい。

「藍も自分もですけど、これを絶対やらないといけないみたいなルーティンは特に作っていなくて。日常のまま過ごして試合に挑む、平常心を大切にしています」

開山堂と本堂を兼ねた昭堂で拝見したのは、運慶作と伝わる本尊の釈迦如来坐像。その左右にはお釈迦さまを見守るように、10人の弟子・十大弟子像が並ぶ。髙橋兄弟を見守ってくれるファンは、彼らにとってどんな存在なのだろう。

「『会場で試合を見て学校行けるようになりました』とか、『最近仕事がしんどいけど頑張れそうです』とか書かれた、SNSのコメントやファンレターをたくさんいただきます。でも、藍とよく話ししてるんですよ、『僕たちが頑張れているのも、応援のおかげやんな』って。30代、40代、50代…ずっと『はしごだか』の皆さんと一緒に成長していきたい。そんな大切な存在です」

晴れの日も、雨の日も、毎日をかけがえのない日として楽しめる人。「日々是好日」という禅語がぴったりな塁さんのこれからに期待したい。


PHOTO/夏見タカ TEXT/立原里穂

【鹿王院】
京都府京都市右京区嵯峨北堀町24
☎075-861-1645
9:00〜17:00
無休
拝観料/600円
https://rokuouin.com/
https://www.instagram.com/rokuoin_koshiki/


髙橋 塁 たかはし るい rui_takahashi_
2000年1月14日生まれ、京都市出身。東山高等学校から日本大学に進学。卒業後の2022年、サントリーサンバーズ大阪に入団。弟は、東京・パリと2大会のオリンピックに出場した髙橋藍さん。2025年5月、弟と共に現役アスリートとして初めて京都府文化観光大使に就任。

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