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京都・嵐山の隠れ寺[鹿王院]を御朱印男子が巡る|バレーボール選手髙橋塁さん【前編】

京都・嵐山の隠れ寺[鹿王院]を御朱印男子が巡る|バレーボール選手髙橋塁さん【前編】

山門をくぐり庭師の方に挨拶しながら歩く、青もみじが揺れる参道の静けさたるや。

サントリーサンバーズ大阪所属のバレーボール選手であり、京都府文化観光大使でもある髙橋塁さんがこの日訪れたのは、京都・嵯峨の鹿王院。1379(康暦元)年、足利義満が自身の長寿を願って建立した臨済宗の禅寺だ。

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山門に掲げられた「覺雄山」の扁額は、三代将軍・足利義満の直筆によるもの

足利義満の自筆と伝わる扁額、三尊石や坐禅石を中心とした石組みや沙羅双樹を配置した本庭、仏牙舎利(お釈迦さまの歯)を安置する舎利殿など、見どころ多き古刹で、地元・京都やファンへの想いを聞いた。

観光地のそばで育ったあの頃を思い出す

高校を卒業するまで地元だった嵐山・嵯峨エリアの、おすすめを教えてもらえますか。

投げかけた質問に対して少し考えてから「中村屋のコロッケかな。母親に連れられて幼稚園のころからずっと通っていて。いつ食べても安定の美味しさです」とありし日を思い出しながら話してくれた塁さん。

中村屋のコロッケといえば、京都屈指の観光地である嵐山のソウルフード。揚げたてコロッケを求めて、地元の人と観光客が列をなす老舗精肉店だ。

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かつて天龍寺の境内に渡月橋があったと言われる時代の嵐山の古地図に見入る塁さん

さらに「その流れでおすすめするなら、天龍寺ですかね。小さいころは池の鯉にエサをあげるのが楽しくて、弟の藍としょっちゅう行ってました。あと嵐山エリアを巡るなら大覚寺や二尊院も素敵なお寺です」と、にっこり。

京都を離れ、京都に興味を持ち始めた

京都で生まれ育ち、東山高等学校を卒業するまで京都に暮らしたが大学からは東京へ。「高校生のとき正直、お寺や神社に興味はなく、『京都ってお寺が多いよね』と言われても、ピンときていなかったですね」。

バレーボールを続けて東京に出て、外から眺めた京都はみんなが憧れる場所だった。子どものころの遊び場がわざわざ行きたい古刹だと知り、京都出身であることを誇らしく思い始めたそう。

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衣冠束帯にひげをたくわえた、若き日の足利義満。江戸時代初期に作られたとされる

「4年ほど前から御朱印を集め出し、試合で地方に行く際は、必ず持参します。そこから少しずつ、京都の歴史・文化に興味も持ち始めました」。

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仏牙舎利殿の御朱印(400円)。背景には、鹿王院を建立した足利義満の姿が描かれている

この日、いただいた鹿王院の御朱印は通常版だが、季節やイベントごとに様々な御朱印が登場。龍図を描いた御朱印帳とともに、旅の記憶として大切に持ち帰る人も多い。

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鹿王院・舎利殿の天井に舞う、彩色豊かな龍図を表紙にあしらった御朱印帳1800円

「嵯峨って本当に静かでいいところですよ。特にコロナ禍の時は、この辺をめちゃくちゃよく散歩していたけど、鹿王院の境内に入ったことはなくて。金閣寺よりも前に足利義満が建てたこと、お釈迦さまの遺骨にお参りできることを知って驚きました」

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舎利殿の扉にそっと手をかけ、一歩踏み入れた瞬間、塁さんの表情が変わる。肌で感じる“聖域”の気配

舎利殿で、静かに手を合わせる非日常に浸り「これから、京都でどこのお寺に行けばいい?と聞かれたら、鹿王院を推していこうと思います!」と色彩豊かな龍図を見上げた。

ありのままの“らんるい”を楽しみたい

YouTubeチャンネル『らんるい』では、トークのほかドライブや家族旅行の様子なども配信。髙橋兄弟を推し、「はしごだか」と称するファンの方々に、等身大の髙橋兄弟を披露している。

「あえて作りこまず、ありのままの姿をお届けしたい。最近、増え始めたメディアに出るお仕事にも言えることですけど、藍も自分も心から楽しんでいます」

2歳下の弟からのスピード感あるつっこみを、ほのぼのキャラで受け止める兄。イタリアで経験を積み、オリンピアンでもある弟と仲良しの秘訣を聞くと…。

「自分と藍の場合は、ふたりとも高校卒業時に家を出ちゃってたまにしか会えないから、逆にそれが良いのかな。両親や家族、親戚とせっかく会える時間は大切にしたいと思ってるんです」

今、自分がバレーボールをできているのは、両親をはじめ周囲の支えのおかげ、そう言いきる謙虚な人だからこそ、「はしごだか」は応援したくなるのだろう。


関連情報:
塁さんも体験した[鹿王院]が満喫できる音声ガイド — 庭園や釈迦如来坐像の見どころを約30分でご案内!。



PHOTO/夏見タカ TEXT/立原里穂

【鹿王院】
京都府京都市右京区嵯峨北堀町24
☎075-861-1645
9:00〜17:00
無休
拝観料/600円
https://rokuouin.com/
https://www.instagram.com/rokuoin_koshiki/

 


髙橋 塁 たかはし るい rui_takahashi_
2000年1月14日生まれ、京都市出身。東山高等学校から日本大学に進学。卒業後の2022年、サントリーサンバーズ大阪に入団。弟は、東京・パリと2大会のオリンピックに出場した髙橋藍さん。2025年5月、弟と共に現役アスリートとして初めて京都府文化観光大使に就任。


▶ 後編はこちら

御朱印男子・髙橋塁さんが見つけた"静の時間"。
バレーボール選手として、ひとりの人間として、今大切にしている想いとは。

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